ある路地の独り言
- 2015/06/29(Mon) -
150627_1539~01

これでも 75年前は ぴかぴか新築長屋
どんつきには共同井戸のある 粋な袋小路だったのさ
書道家、左官屋、新米建築士、学校の先生なんかが軒を並べてね
開けっぱなしの戸口から 夕餉の惣菜が 自由に行き来した

これでも 45年前は 子供たちの声にあふれていた
かこチャンりえチャンとしぼうわたるみつのりクンえいチャンみほチャンのりチャンまゆチャン
かこちゃんが12歳くらいで まゆちゃんは生まれたばかりの赤ちゃんで
年の差なんて関係なく みんなつるんで遊んでた 
   
これでも 25年前には 赤ん坊の声が響いてた
ここから巣立った子たちが 里帰りして 新しい命を産んだから
もう井戸はなくなっていたけれど 代わりに空き家があったけれど
赤ん坊の泣き声は エネルギーの塊だった

これでも 3年前は 慈しんで住んでくれる人がいた
ここで 生まれ育った その人が
最後の一軒
ほかは 空家だったけれど

だけど そろそろ おさらば 
この夏に 取り壊しさ
なんにでも 終焉はある  
そうだろう?

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