夢カエル
- 2008/03/31(Mon) -
    
                          夢見ています

                          はるかな

                          大空 海原 風の道



                          夢見る心は自由

                          優しき人の

                          言葉を追い 声を想います


              
                          夢見ているので

                          夢色に 

                          染まっていきます





          waraeruamagaerus.jpg
                  by Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」



     FC2 Blog Ranking



    

              
この記事のURL | 詩 (命) | CM(11) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋うた  すずめばち
- 2008/03/31(Mon) -

              



                             あの夜
          
                             うつむいた自分が くやしい

                             涙を飲みこんだ自分が いとおしい


           
                             あの夜に もどる

                             やっと もどれる私に なったから


               
                             もどって 最後のひと刺し くれてやる
             
                             忘れられない夜に してあげる


                
                             水鏡にうなずいて  

                             飛び立つ




 
             suzumebatis.jpg
                 by Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」



     FC2 Blog Ranking


    


               
この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(6) | TB(0) | ▲ top
あおく
- 2008/03/30(Sun) -
           

                            あおく 凍る

                        嫉妬を目覚めさせぬように



                   嫉妬の焔はカミソリの鋭さ ザクリと内側 切り裂いて

                     切り裂かれた場所から ブスブスと焦げてゆく
       
                       責めようか 内側から焼かれる苦しさを 
          
                           伝えようか 誰のせいかを
     
                     嫉妬に狂い もろともに焦げ あなたを失う前に

         


                              あおく 凍る


            usugooris.jpg
                    by Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」




FC2 Blog Ranking





この記事のURL | 詩 (恋うた) | CM(7) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋うた  ちょうとんぼ
- 2008/03/30(Sun) -
                 



                 行っちゃって

                 うそも

                 言いわけも
 
                 うんざりだから

            
                 行っちゃって

                 言いわけより 川音が聞きたい 

                 川風よ 嘘を 吹き飛ばせ

           
                 行っちゃって

                 わたしは 
         
                 わたしに もどるから  

           
                 自分で みつけた

                 この場所で   



     ちょうとんぼ
              by Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」




FC2 Blog Ranking






   
この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(4) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋うた かいこ
- 2008/03/29(Sat) -
          


             言葉を

             吐いて 吐いて  

             吐いて 吐いて

             繭を つくった
 
             ひとり繭

             あなたの声 聞こえるけれど

             もう 遠い




             繭ごもる

             ここから出ては 生きてゆけない
          
             なぐさめは いらない

             羽ばたけない運命だと

             とっくに 気づいている



           img96f57202zik5zj.jpg
            蚕(かいこ)写真素材フォトライブラリー



FC2 Blog Ranking


        
    
この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(8) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋うた    くも
- 2008/03/29(Sat) -
  



                    『
                       想い焦がれて
   
                       待ち焦がれて
    
                       焦がれて
  
                       焦がれて
  
                       燃え尽きる
  
                       形見に涙を おいてゆく
                                       』
     

          kumonosunokartens.jpg



                        こんな 言葉で

 
                         あのひとを


                         からめとる





       
          写真 くもの巣と水滴 フリー写真ブログもってって!



FC2 Blog Ranking



 
この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(2) | TB(0) | ▲ top
ひっそりと
- 2008/03/28(Fri) -
              
                    言の葉を 森に 隠した

                    言の葉の裏に 恋心 縫い付けた
  
         
                    緑風そよぎ 

                    木漏れ日 降り注ぎ

                    恋心 震える

         
                    でも  

                    もう

                    あなたには みつけられない



         koketosida2008s.jpg
                   by Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」
                   


FC2 Blog Ranking




この記事のURL | 詩 (森) | CM(4) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋うた   かげろう
- 2008/03/28(Fri) -
   

             

                       脱ぎ捨てる

                   想いや 嫉妬で 厚くなった殻

                   優しさを装うための 薄布

                      あのひとの 匂い


  
                        断ち切る

                 わたしを 地上に つなぎとめる銀の絆

                   わたしを 縛る あのひと色の糸


                  

                        すべてを
             
                     脱ぎ捨て 断ち切り

                        風に乗る

            

                        それは
  
                        おわりか


                   
                        それとも

                        はじまり?



         umaretebanzai2007s.jpg
           羽化まもないかげろうby Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」
                   


FC2 Blog Ranking



   

   
この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(4) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋うた  ほしべにかみきり
- 2008/03/27(Thu) -
                      遠く離れても

                   心 つながっていられるか

              
                       遠く離れれば 
  
                   心 縛るものから 解き放たれるか



          
                        わからない
 
                         ならば
  
                        とりあえず
 
                        飛んでみよう
    
               
         hosibenikamikiris.jpg
                 写真 by Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」


FC2 Blog Ranking


この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(2) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋うた   かみきりむし
- 2008/03/27(Thu) -

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・会いたい  
        
                  そのひとことが



                    会いたい会いたい会いたい会いたい  
                     あいたいあいたいあいたいあいたい   
                      愛たい愛たい愛たい愛たい
                       痛い痛い痛い痛い


              
                         伝えられない


                          いつだって
   
                          大切な言葉

                         かみしめ過ぎて
             
             
                      差し出す前に バラバラ



        gomadarakamikiris.jpg
            写真 by Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」


FC2 Blog Ranking

この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(0) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋うた  つゆむし
- 2008/03/26(Wed) -

  


           女の子から 誘っちゃいけないって
  
           おばあちゃんが 言った 

           ママも ダメって


           男の子が 声をかけてくれるの 待ちなさい

           女の子が 恋の歌なんて 

           絶対 いけません

  

           いやよ そんなの
  
           あたしは 歌う
 
           あのひとに 届けと 歌う  
  
  
  
           たとえ
 

           翅が


           壊れても



         tuyumushi
                     写真素材フォトライブラリー
 
                    
    

FC2 Blog Ranking
     
この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(6) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋うた  かまきり
- 2008/03/26(Wed) -



                 刃(やいば)


  
        刃を 相手の喉もと 突きつけて
  
        かわせるかしら かわしてみせて ねえ かわして

        いつだって 命がけ 

        そんな 恋が いい

 
 
        そんな 恋を した

        かわしてみせてと 懇願したのに

        心の底から 願ったのに

        刃は あのひとの血に濡れる

        泣きながら その血をすすり 肉を食み

        愛しいひとを 一片残さず わが身に入れた 

  
  
        甘い言葉は いらない

        つきつけた刃を かわして


        kamakiri07.jpg
          写真は「無料写真素材フォトココ」 




FC2 Blog Ranking
この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(5) | TB(0) | ▲ top
虫たちの恋の詩(うた)  まめこがね
- 2008/03/26(Wed) -
                  
                まずは 虫たちを この森に 放してやろう

                ここでなら 思い切り 歌えるよ 恋の詩

                トップバッター は まめこがね   
                

                           

                           

                    「まめこがね 恋のうた」



                        姿 見えず


                       声も 聞こえない


                     けれど あなたを 感じる


                       この陽だまりで
 

             まめこがね


                     
                      あなたに 触れたいと


                         惑っている





            写真 by Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」


FC2 Blog Ranking
この記事のURL | 詩 (虫たちの恋のうた) | CM(0) | TB(0) | ▲ top
神戸新聞文芸児童文学年間賞作 2
- 2008/03/25(Tue) -

  「猫の夜」

  それは 冬の満月夜。部屋でヌクヌクと眠るぼくの頭を 冷たい風がなでた。
  
  おでこに ひんやりとしたものが触れる。何? ぼくは いやいや目を開けた。

  そこに 緑に輝く二つの目 月色に光るひげ―チビがいた。チビはのら猫 ぼくの友達。
 
  窓が開いて 身震いするような月光が部屋を満たしている。

  「チビが 窓開けたの?」と、ぼくは寝ぼけまなこ。

  チビはフンッと鼻を鳴らした。

  「その呼び名は おれにふさわしくない」

  「すごいっ チビ 話せるの?」

  チビはフフンとまた鼻を鳴らし ひげをふる。ひげ先から光のしずくがこぼれ落ちる。
 
  「今夜は満月の力がひげに流れ込む。怖いものなしさ。早く行こうぜ」

   と 氷のように冷たい前足で ぼくのおでこをヒタヒタ叩いた。

  「行くって どこへ?」
  
  「約束を果たしにさ」

  チビは窓わくに飛び上がると 長く黒い尻尾をしならせた。

  「特別に 尻尾につかまらせてやるよ」

  約束? ぼくは半分寝ぼけたまま布団から這い出し チビの尻尾をにぎった。

  次の瞬間 チビは窓から夜空へ 飛び出した。


  凍る冬空 こうこうと冴える満月。 ひげをピカピカ光らせ 猫が夜空を翔ける。
  
  その尻尾にぶらさがる パジャマ姿のぼく。 寒いっ。

  チビは ぼくの通う小学校の裏庭に着地した。

  そこは 校舎裏 楠木の下 ぼくの涙場。 チビと初めて会った場所だ。

  あの日 ぼくは木の根元に 緑目の子猫はずっと上の枝にいた。
 
  「そこ 気持ちよさそうだね 登り方教えてよ 給食のおかずあげるから」

  ぼくは そう言った。

  子猫は 知らんぷりして 耳の後をかいていたっけ。


  木登りのことなんて 忘れてた。

  毎日 給食のおかずをあげたのは 子猫を大好きになったから。
 
  チビが 木を見上げて言った。

  「コツは とっかかりさ。 

  初めのとっかかり 次のとっかかり そうやって 道をつくる。」

  チビと並んで 木を見上げた。

  「ぼくには無理だよ。」

  「そういう言い訳は じゃま。 砂をかけて埋めちまえ。
 
  とっかかりのひとつも みつけられないわけ?」

  と チビが鼻にしわを寄せる。

  ムッとしたぼくは 幹のこぶに足をのせ枝をつかみ 体を持ちあげた。

  「フン もひとつくらい みつけられるだろ? 

  ほら次のとっかかりも簡単 おまけにもうひとつ。なんてことないだろ?」 

  
  チビが言うほど 簡単じゃなかった。 けれど ぼくは登った。

  木の上から眺める学校は いつもとまるで違った。

  気に入らないあだ名 乱暴なクラスメイト 苦手なおかず・・・

  そんなものが小さくなり どうでもよくなった。

  体も心も ぽかぽかした。

  登る時につくった手足のすり傷さえ 気持ちいい。

  となりの枝では チビが身づくろい。

  ぼくが落下しそうになるたび えり首をくわえてくれたんだ。

  チビは大きく のびをすると

  「じゃあな 月が消える前に旅立つよ」

  「え? どうして? どこへ?」

  「おれにふさわしい名を 探すんだ。 この町は旅の途中さ」

  「名前なら ぼくが考えてあげる」

  「おれが おれでいるための名だ。 おれにしか みつけられない。」

  チビはきちんと座ると 緑の目で 僕の目をのぞいた。

  「おまえは 何を求めて 明日を迎える?」

  ぼくは 答えられなかった。 かわりに こう言った。

  「チビがいなくなると さみしい」

  「別れは 再会の約束さ。 

   いつか おれは尻尾をピンと立てて おまえに会いに来る。
 
   おまえに おれの名を告げる。
 
   おまえは その名をかみしめ うなずくんだ。 ああ わくわくするぜ」

  ぼくは 涙をこらえた。チビが顔をつき出し

  「おれのひげ 一本やるよ」

  「抜いていいの? 痛くない? 」

  「なんてことないさ」

  できるだけ そっと抜いたけれど 痛そうだった。 チビは 顔を洗って ごまかした。

  「猫のひげには 勇気がつまってるんだぜ」

  そう言うと チビは再び 夜空へと跳躍した。


  あいつは 旅に出た。 ぼくは この町で明日を迎える。
  
  いつか ぼくは胸を張って あいつと再会する。
  
  そのためには 試練も乗り越えよう。
  
  そう 例えば 今 目の前の試練。
  
  ぼくは 木の上。
  
  一人で 降りなくてはならない。
  
  すり傷だらけの手のひらで あいつの勇気が一本 光を放っている。

                                                  完


                                2002   神戸新聞文芸児童文学年間賞
                                       

この記事のURL | 児童文学(作品) | ▲ top
神戸新聞文芸児童文学年間賞受賞作 1 (2000年)
- 2008/03/25(Tue) -
   「ガシャ・ポン」


 手の中に 百円玉二枚。 もらったばかりの今月分のおこずかい。  二年生だから二百円。

 使い道はもう決まっている。  ぼくは 百円玉二枚をにぎりしめ 橋まで走った。

 橋から カミ山が見える。 橋の下を流れるのは カクシ川。

 今朝 橋のたもとに ガシャポンをみつけた。

 ふつう ガシャポンは スーパーやおもちゃ屋の前に 目立つように並んでいる。

 人気キャラクターの絵が貼ってあって ゴム人形やキーホルダーの入ったカプセルがつまっている。

 ところが 橋のガシャポンは たもとに隠れるようにひっそり ぽつんと立っていた。

 何の絵も 字もない。 グリーンの半透明なカプセルが 数個入っているだけ。

 ぼくは 百円玉を一枚 コイン投入口へ入れた。 コトン。

 ハンドルを回すと ガシャッと手ごたえがあって ポン とカプセルが転がり出てきた。

 どういう仕掛けだろう カプセルの中で水がうずまいている。

 カプセルに小さく文字が刻まれている。 <カッパ> だって。 カッパのゴム人形? 

 本物のカッパだったりして。

 カプセルを開ける時はいつだって わくわくする。 ぼくは 指先に力をいれ カプセルを開けた。
     
 バッシャーン。  ぼくは 水のうずに 飲み込まれた。

 水の中で ぐるぐる回されて 上も下も わからない。
 
 もみくちゃにされて 流される。 どこかで 笑い声がした。

 ぼくは笑い声のほうへと 必死で 手足をばたつかせた。

 やっとの思いで 水面から顔を出した。 ぼくは 川の中にいた。 足が 川底についた。

 川の両側からせりだす樹々の枝が 川に緑の影を落としている。
     
 そして ほくの目の前で

  「ケカッ ケカッ カッパの川流れ ケカッ」

 と 笑っていたのは・・・。

 全身緑色の・・・頭の真ん中にある泉はほうれん草色 目の色もほうれん草
         
 水かきのある手とポコリと突き出したお腹はねりわさび色 
      
 逆おうぎ形につきでた口元はきゅうり色・・・・の おやじガッパが いた。

 おやじガッパのうしろから そら豆色のひとみが のぞいた。 子ガッパだ。
 
 その子の泉はそら豆色 泉をとりまくうぶ毛は まるで春きゃべつの千切り 
       
 肌は 皮をむいたマスカットの実みたいに キラキラしている。

 ちょんと とがった口元が すごくキュートだ。

 おやじガッパが ぼくに 聞いた。

  「おまえ どっから 流れてきたんや?」

 えーっと どこだっけ?

  「おまえ 名前は?」

 うーんと なんだっけ?

 首をかしげ 腕組みしたぼくの腕はきゅうり色 指には水かき。
                    
 澄んだ川の中で 水かきのついたぼくの足が もぞもぞしている。

 なーんだ ぼくも カッパだったんだ。
   
  「あたしが 名前 つけてあげる」

 子ガッパが そら豆色のひとみをクルンと回して言った。

  「『雨あがり』や。 あんたの泉の色 雨あがりのお山と おんなじ色」

 ぼくは頭の上に手をのばした。 指先に泉が触れる。

  「ぼくの目の色 どんな?」

 子ガッパは  クコッ クコッ と笑って言った。

  「泉と目玉は つながってるやん」

 雨あがり色の 泉とひとみ。 うれしくなった。

  「あたしは 『若葉』。 父ちゃんは 『山ふところ』や」

 若葉や山ふところと いい仲間になれそうで ますます うれしくなった。

 ぼくは 水かきのついた手で バチャバチャと 川面を叩いた。

 若葉と山ふところも バチャバチャと ぼくの喜びに答えてくれた。
 
 ぼくは 若葉 山ふところとともに 川で暮らしはじめた。

 川には サワガニやヤマメ イワナがいた。 川辺には キツネやたぬきがやって来た。 

 川下から 人間が来ることも あった。

   「神山の 山ふところよーぉ 若葉よー うちの子がやけどしたんやぁ」

 そんな声が 川下からのぼってくると

 山ふところと若葉は 川辺の樹や草から何枚かの葉を千切り 束ねて 流した。

 山ふところが 山を震わせ叫ぶ。

   「カッパの薬 やけどにも 傷にも しもやけにも 効くぞーお。 すりつぶして ぬれぇ」

 少しして ほっとした人の声が 聞こえた。

   「おおきによー。 きゅうりとお酒 供えとくよって 食べてよー 飲んでよー」
         
 人の子らが 川づたいに登って来ることもあった。

   「山ふところー 若葉ー きゅうりとイワナ 交換しようやぁ」

 若葉と山ふところが川にもぐった と思ったら もう両手にイワナをつかんでいる。

 ぼくも あわてて イワナを追いかける。 捕り方は 若葉に 教わった。
        
 きゅうりをパリリとかみながら 山ふところが 

   「ついでに すもうとってけ」

 子らを さそった。

   「そうや すもう すもう」 と 若葉が声をあげる。

 すもう と聞いて ぼくの体がムズムズとする。

   「とってもええけど 仏さんに供えためし 食うてからや」と 人の子。

   「そんなん 食わんでも すもうはとれる」 と 山ふところ。

   「あかん あかん 尻っこぬかれたない」

   「きゅうり うまいさか 尻は抜かん」 と若葉。

   「ほんでも 負けんのもくやしいさか やっぱり食うてくる。 土俵で待っといてや。」

  と 人の子らはイワナを抱えて 走っていった。

  少し川下の中洲土俵で(りっぱな土俵なんだ!) ぼくらはすもうをとった。

  山ふところは ダントツに強く ぼくは どんじりだった。 

  人の子らも 中々やるもんだ。
      
  すもうを終え 人の子らも帰り ぼくら三匹は 川面に手足を伸ばし 浮かんだ。

  木漏れ日が 心地よい。 山ふところが あくびまじりに 言った。

   「澄んだ水 樹の匂い うまいきゅうりに すもう仲間。 カッパ天国や」

   ほんと ぼくは 世界一 幸せなカッパだ。

   そんなふうに 夏を過ごした。

   秋が来た。 
           
   ある朝 若葉が言った。

    「今夜 満月やし 川のはじまりまで 行かへん?」

    「うん 行ってみたい」

   川のはじまりへ行くには小さな滝を二つほど登る と 若葉が言う。

    「満月あびて滝登りした二匹は ずうっと仲良しでいられるんやって」

   早口で言い添えると 小さな水しぶきをあげ 泳いでいってしまった。

   ぼくは ぽおっと 若葉の残した波紋に みとれた。 と そのとき 山ガラスが川を横切った。 

   くちばしに きらりと銀色に輝くものをくわえている。

   月の光に似ている。 月夜にぴったりのおくりもの。 若葉にあげたい。

   カラスは 山中へと もどっていく。  ぼくは カッパだ。 水から離れるのが 怖い。 

   長時間 水から離れると とんでもないことが起きる と 山ふところから 聞いたことがある。

   カラスが遠ざかる。 いそげば大丈夫。 走って行って 走って帰ってこよう。
    
   ぼくは 陸に上がった。  

   ぼくは 土の上を走り出した。

   カッパの体は 走るには 向いていない。 すぐ 息苦しくなった。

   カラスは 木の上の巣に光るものを置いて また 飛び立って行った。

   カッパは 木登りにも 向いていない。

   水中で あれほど自由に動けることがうそみたいに 体が重い。

   力をふりしぼり カラスの巣にたどりついた。
   
   巣の中に 小さな月が眠っていた。

   手のひらにのせると目を覚まし きらんと 光った。

   小さな月には 花の絵が浮き出ている。

   裏を返すと 100 という模様。 

   これ なんだろう どこかで見たことのあるような。 この意味を知っていたような・・・。

   ぼくは おかしな気分になって 木の枝にしがみついたまま 手のひらの月をみつめていた。
       
   キーン。 耳鳴りがした。  しまった 泉が乾いた。  頭が 痛い。

   ぼくは 月をにぎりしめ 木をすべり降りようとした。

   にぎりしめた手の水かきに痛みが走る。 水かきが割れた。

   木の皮にこすれる手足の水かきも ひび割れ ぼろぼろと落ちる。

   パリンッ。

   泉の割れる音が 頭の中に響いた。 目の前が真っ暗になった。

   木から体が離れ 落ちて行く。  ぼくは 小さな月を強くにぎった。

   若葉に・・・あげる・・・ん・・・だ・・・。



   痛ってぇ。  しりもちをついた。 目を開けると 橋の上だった。

    「ケンタ あぶないやろ!」

   同級生が 脇を自転車で走り抜けて行った。

   ぼくは のろのろと 立ち上がる。 こんなところで 何をやっていたんだろう。

   同級生が呼んだとおり ぼくの名は ケンタ。 けれど・・・胸の奥がざわめく。

   なにか もうひとつ とてもきれいで 大切な名前を持っていたような。

   右手をにぎりしめていることに 気がついた。 開けば 百円玉。

   思いだした。 ガシャポンをしに来たんだった。 

   あれ? 二百円持っていたはずなのに 落としたんだろうか。

   ぼくは 橋の上に目を走らせる。 らんかんから 川をのぞいた。

   川はにごっていて 百円玉が落ちていたってわかりゃしない。

   にごった川をみたら 胸がキュンとした。 どうしてだろう 泣きたくなった。

   目をあげたら カミ山が見えた。 ふいに 雨上がりの山が見たい と 思った。

     
   百円玉を探すのは あきらめた。

   残った百円玉を たもとのかげのガシャポンに 入れた。

   ハンドルを回す。 ガシャッ。 カプセルがポンと 出た。 半透明のグリーンのカプセル。

   ぼくは カプセルを持つ指に 力を入れた。

   わずかに開いたカプセルのすきまから みどりの風が吹きつけた時

   カプセルの小さな文字に気がついた。

    <てんぐ>

   次の瞬間 木の葉まじりの竜巻が ぼくを 空高く 舞い上げた。



                                               完

                            2000年  神戸新聞文芸児童文学年間賞受賞作  



この記事のURL | 児童文学(作品) | ▲ top
「鬼羅の歌」
- 2008/03/25(Tue) -
    歌声。  歌が聞こえる。  この街にふく風が 歌っている。

    ここは 山をけずって できた街。 

    百年前は山だった。 五百年前は深い山 千年前は 深い深い山だった。

    ここが 深い深い山だった頃の話。

    鬼神が 山の精気を吸うためにやってきて 樹々の間を 駆け抜けた。

    鬼神が通り過ぎた後に 小さな竜巻が 起こった。 落ち葉や木の実を 巻き上げて クルクルおどる。

    竜巻がおさまった時 そこに 鬼の子がいた。
  
    鬼羅は こうして 生まれた。

    
                                      …続きを読む(旧ブログへ)

この記事のURL | 児童文学(作品) | ▲ top
はじめまして どうぞ よろしく
- 2008/03/25(Tue) -

                       つたなくとも

                       大切な言葉たちを

                       この森に隠そう
                      
                       ここは かたばみの森
 

                   夢の芽は かたばみに似る 春よ来い                                      


            かたばみ
              by Katsumi 「フリー写真ブログもってって!」



               
この記事のURL | ごあいさつ | CM(8) | ▲ top
| メイン |